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2019

  • 光学印象の正確性について

    長谷川歯科診療所では、2018年から光学印象を採用しています。従来は「印象材」(粘土のようなペースト)で、印象=歯の型を取っていました。光学印象は、印象材を使わずにカメラで口腔内や歯を撮影して「三角測量」の要領で画面上で歯の形を再現する方法です。コンピュータ画面上で補綴物を設計し、このデータを工作機械に出力し自動的にセラミックの塊から補綴物を削り出します。

    補綴物の精度という点で、日本歯科理工学会の立場では1.従来型の金属鋳造補綴物、2.工作機械で削り出したワックスパターンを鋳造した補綴物、3.光学印象によるデータを出力して、工作機械でセラミックスから削り出した補綴物、1.2.3.の順で精度が高いとしてきました。ただし、審美領域(正面から見える部位)に、金属鋳造補綴物を使うことは現在ではありません。したがって、長谷川歯科診療所では審美材料であるセラミックスを削り出すことが現在の最高精度の補綴物製作方法の一つと考えています。補綴物の精度が高いことにより、二次齲蝕(寸法精度の低い補綴物を入れた為に隙間から起こる虫歯)を防ぐことができます。長期にわたり、口腔機能を維持することができます。

    2018年の光学印象採用から数百例の補綴物を装着してきました。95%以上が無調整で接着でき、残りも噛み合わせのわずかな調整のみで機能しています。ジルコニア(金属酸化物セラミック)の強度も大変にすぐれ、破折もほぼ皆無です。また審美性にも優れた半透明ジルコニアを採用していますので、極めて美しい修復が行えます。

    今後も新しい機材を積極的に取り入れ、患者様がたの口腔機能が回復し、長期にわたり維持できるように努めてまいります。

  • 歯根破折に自然治癒はありません

    歯根破折に自然治癒はありません

    歯根が破折した場合(「ヒビ」でも「モナカのようにぱかっと」割れても歯根破折という診断になります)放置しておくとどうなるかを以前お話しいたしました。

    体の中で、自己修復能力のない数少ない組織の一つが「歯牙」です。骨が折れたら=骨折したら、「石こう=ギプス」を巻いておくだけで自然に治癒します。これは自己修復能力があるからです。しかし「歯牙」にはこのような能力がありません。ヒビを通じて歯茎の下に入った唾液とともに大量の口腔内の菌が入ってきますので、

    1. 歯根周辺の骨の吸収が始まり、歯茎の腫れが起こります。さらに炎症を起こした組織が膿を作り
    2. 臭い=口臭がします。
    3. 「ニキビ」のような「サイナストラクト=膿の出口」ができれば、内圧が上がりませんので、歯周組織への圧迫はありません。したがって、「神経を取ってしまった歯牙」の歯根破折で痛みは出ません。放置している患者様が多いのはこのためです。
    4. 経過観察していても、細菌が原因の炎症状態ですので、免疫が下がれば、腫れます。体調が優れれば、腫れは引いて「治った」かのような状態になります。

    決して、歯根破折は自然治癒しません。「経過観察=様子を見ましょう」と言われても治ることはなく、ほっておけば、免疫が下がるたびに腫れて歯牙をサポートしている「骨」がなくなります。

    可及的に専門医の診断、治療を受けることをお勧めします。

  • 全ての「歯が割れた、歯の根が割れた」患者様を拝見します!

    多くの研究者によれば、1.歯内療法を行なった歯牙で、2.「歯の土台=支台築造」に金属を使用し 3.   10年から15年ほどすると多くの症例で歯根破折を起こす、とされています。このような現象に限局して「歯根破折」と呼んでいます。メカニズムとしては「根管内の起始点から亀裂が伝播し歯根表面に至った瞬間に歯根破折」ということになります。

    ただ来院される患者様方の中にはこの定義に当てはまらない症例がたくさんあります。歯内療法も受けていない生活歯、大きな修復処置も受けていないにも関わらず割れている症例です。「寝ている間に噛み割って」しまった、「ボールがぶつかって」折れてしまったなどの、外傷によって歯冠、歯根破折を起こした症例です。歯根破折が根管内から生じるのに対して、外傷歯は根管外側、歯冠外側から亀裂が入り、瞬時に歯髄側に達するのが特徴です。

    破折に至るメカニズムが異なるために、本来は「歯根破折の専門医院」では外傷を扱いません。

    しかし外傷でも、根管内から亀裂が発生する症例についても、患者様にとっては「歯が割れた、歯の根が割れた」ことになりますので、長谷川歯科診療所では、原因に関係なく治療いたします。

    お困りの節はご予約ださい。

  • 自家歯牙移植専門外来のおしらせ 20年間以上冷凍保存もできます

    ご自身の歯牙を失われた場合の補綴(ほてつ=歯のないところに歯を入れる治療)の方法としては義歯(ぎし=入れ歯)、ブリッジ、インプラントの3つが選択肢となります。1本欠損の場合、義歯を入れるとクラスプ(入れ歯を止めるバネ)により「歯がグラグラ」になりやがて脱落しますし、ブリッジにする場合は「なんでもない健康な歯」を大量に削る必要があります。1本欠損の場合ならば「インプラントを入れればそれで終了」です。歯がグラグラになる心配もありませんし、健康な歯を削る必要もありません。

    ただし(一部の方に限られますが)補綴の方法として、「自家歯牙移植」があります。ご自身の「親知らず」や「矯正上必要な便宜抜歯」があれば、これを欠損部に移植することができます。当院では年間に数十本の移植をしており、良い成績を収めています。

    最近の技術進歩により、CT撮影により移植する歯のレプリカモデルを作り、移植する場所に適切な大きさ、形状の穴を掘るようなことができるようになっています。これにより移植する歯の「歯根膜」を余計に傷つけることなく移植の成功率を上げることができるようになりました。健康で、大きな虫歯や感染のない歯があれば移植の対象になりますし、「今」移植の必要がなければ数十年にわたって冷凍保存することもできます。

    当院はティースバンク(歯の銀行:広島大学発のベンチャー企業)の指定医院です。「矯正治療で抜歯と診断された歯牙」を数年後に「別の場所」に移植したい、「抜歯をして、骨の治療が終了した後に再び同じ場所に戻したい」など数年、数か月後に再植ができると有利な症例はたくさんあります。この時の保存場所としてティースバンクを利用しています。現在抜歯後の歯牙を「最長20年間以上」保存することができます。健康で、大きな虫歯や感染のない歯を捨てる必要はありません。再び必要となれば銀行から歯牙を取り寄せて移植をいたします。

    どうぞご相談ください。

  • デジタルデンティストリーのご案内

    クラウンや、インレーなどの補綴物を入れる前に必ず必要なのが、型取り(印象採得)です。これが苦手な患者さまもいらっしゃると思います。「オエー」となる嘔吐反射があるからです。正しくは咽頭反射(いんとうはんしゃ)、催吐反射(さいとはんしゃ)などと呼んでいますが、何れにしても反射であるために「慣れる」ことはありません。

    このような問題解決のために、当院では粘土のような印象材料を極力使わずに印象採得をしております。カメラで口腔内を撮影し、モニター画面上に再現したデータをインターネット経由で技工所に送る方法です。このようなカメラによる印象や、技工所でのコンピュータ支援による補綴物設計、製作などを総合して「デジタルデンティストリー」と呼んでいます。今後はこのような技術が主流になると考えています。

    当院では常に最新の技術を皆さまにお届けできるような努力をしております。

     

     

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