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歯根破折を知る

category : 歯根破折

割れた歯がなぜ抜かずに済むのか?破折歯の接着治療は専門医院へ 1.

すぐに抜歯される日本の現状

北欧では「歯周病」や「う蝕(しょく)=虫歯」が原因で抜歯することはほとんどありません。予防歯科が発達していて、すでに「歯周病」や「齲蝕」そのものが少なくなっているからです。現在スウェーデンでは抜歯に至る最大の原因は「垂直性歯根破折;歯根が縦に割れてしまうような症例;以後、歯根破折(しこんはせつ)と書きます」と言われています1)

歯根破折画像1
歯根破折画像2

この写真のような症例です。

    ほぼ中央に入っているのが亀裂(破折線)


ところが日本では相変わらず「歯周病」や「う蝕」が原因で抜歯されるケースが全体の74%を占めるという報告があります。それに続く抜歯の原因が「歯根破折」です2)。その後2018年の追加調査では歯根破折による抜歯数のみが当時の1.7倍に増えています。やがて我が国でも「歯周病」や「齲蝕」がなくなり抜歯原因の一位が「歯根破折」となる日が来るかもしれません。(事実2018年にはこの調査が最初に行われた2005年よりも歯周病、う蝕による抜歯は減少しています。)
いずれにせよ歯が割れたら抜歯するという状況は世界中で同じようです。

ただ、日本では「歯根が割れているので抜歯です」と確定診断された患者様方のうち「76%は抜歯に同意しない」と言われています3)。患者様方としては「説明がよくわからないので納得できない」「歯が割れたぐらいで抜歯ですか?」というところが本音だと思います。

ある論文によれば4)患者様方が納得せず抜歯に同意しない理由を「要約」すれば以下のようではないかとしています。

すなわち「一般歯科医師は歯根破折という症状に対する知識が不足している。さらに保険診療では説明時間もなく、対応に限界があるために患者が納得しない。また歯根破折歯は健康保険の診療では「直ちに抜歯」になるということを患者が理解していない。」

一般の健康保険の治療では「歯根破折した歯牙を治療」して保存する=残すという概念がありません。したがって多くの一般歯科医師は破折した歯牙を治療する方法を知りませんし、経験がありません。何本も破折歯を抜歯した患者様方が多いのは、このような理由によります。

……これが日本の現状です。もし、歯根破折を起こしたら、ぜひ、「歯根破折の専門医院」を受診してください。

歯根が破折した場合の症状

ところで、歯根が破折すると、どのような症状が出るのでしょうか。


・歯肉にニキビができる

歯根に亀裂が入っていると、口腔内の細菌が侵入して根の先に細菌の「かたまり」ができます。条件次第ではこの塊は膿を作り、この膿が骨を通って歯肉の表面に出口を作ります。ちょうどおできやニキビに形が似ています。この膿の出口を「サイナストラクト」と呼んでいます。サイナストラクトは、体調により出たり引っ込んだりします。

歯にニキビができた画像1

・歯肉が腫れるが痛くない
患歯の周囲だけ歯肉が腫れます。歯肉の中で膿ができていますが、膿の出口=サイナストラクトがあれば内圧が上がらず歯周組織を圧迫しないので、痛みは出ないことがほとんどです。体調によって腫れる日もあれば、引っ込むこともあります、膿の出口がふさがった場合は、痛みを感じるようになります。また膿のために口臭が発生します。


・差し歯が取れやすい
差し歯は、残っている歯根に土台を差し込みクラウンを被せる治療法です。差し歯が頻繁に外れる場合は、歯根が割れていることが考えられます。割れた歯が、差し込んでいる土台を支え切れないからです。


・噛んだ時の違和感
普段は痛みを感じなくても、物を噛むと痛んだり、腫れたりする場合は、歯根にヒビが入っている可能性があります。


・根の治療がうまくいかない
歯の根の治療(根管治療=歯内療法)を続けていても症状が改善しない場合があります。歯内療法に問題がある場合もありますが、歯内療法では治らないような状態である可能性があります。「歯根破折」に対して歯内療法は効果がありません。


・激しい痛み(神経が残っている歯の場合)
神経が生きている歯で硬いものをうっかり噛んでしまったり、寝ている間に噛み割ることがあります。そんな時は当然激痛が起こります。

激しい痛みの画像1

就寝中に自分で噛み割った症例。神経のある歯ですから激痛!

なぜこのような症状が出るの?

通常、「歯肉から下」には細菌はいません。ところが歯根のヒビを道として細菌が歯肉の奥深く入り込むか、または歯根中に染み込んでいる細菌がヒビから外部に出て様々な症状を起こします。

ヒビが入り約2週間以内であれば細菌はヒビの周囲にとどまっており「歯周病のように歯根表面が細菌に汚染している」わけではありません。放置しておくと侵入してきた細菌によって歯根膜(コラム参照)は次第に失われてしまいます。この時期に汚染源であるヒビを封鎖することができれば歯根膜を失うことなく、歯根膜が作る周囲の歯槽骨の回復が期待できます。これが後ほど述べる「接着治療」です。
しかし歯根破折の状態が数ヶ月、数年に及ぶとヒビから歯根の表面に細菌が繁殖し、歯根膜は次第に失われ歯槽骨も失われて行きます。
当院においでになる頃には破折後数ヶ月、長い症例ですと5年以上放置された状態の方もいらっしゃいます。
病態としては炎症ですから免疫と関係がありますので

● 男女ともに、疲れると腫れる。
● 女性ですと性周期に関連して、腫れる・消退するの繰り返し。

ということになります。
よほどひどく腫れる=急性発作を起こさない限り痛みがありません。したがって全く気づかないことすらあります。他院で指摘されるまで気がつかなかった方も多くいらっしゃいます。
ただし腫れるたびに骨は次第に失われ、失われる歯根膜の範囲も増えて行きます。最終的には、歯を支える歯槽骨が次第に吸収し(溶けて)、歯がぐらぐらになり脱落することになります。

【コラム】 歯根膜

歯根膜は、「歯根と骨を結びつける」約100~200ミクロンほどの厚さの靭帯です。歯根膜が生きている限り、歯は脱落しません。一般的に神経を取ってしまった歯でも、歯根膜が残っていれば「生きている歯」と解釈します。さらに重要な役割は歯根膜の中の細胞(間葉系の幹細胞)が歯根周囲の骨を作るということです。歯根破折によって歯根膜を失った部分には新しい骨ができません。失われた歯根膜の範囲が大きくなれば歯を支える歯槽骨が少なくなり、歯がぐらぐらになり脱落することになります
そのほか、咀嚼中の食品が硬いか柔らかいかなどを判断する圧力センサーの役割もするなど、とても多才な臓器です。

【参考文献】

1) Axelsson P etal.Long-term effect of a plaque control program on Tooth mortality, caries and periodontal disease in adults.J Clin. Periodontol 2004;31:749-57. 
2 ) 安藤雄一・他.永久歯の抜歯原因調査報告書.8020推進財団,東京,2005.p.1‒51.
3 ) 和達礼子.歯科医学会総会抄録「新世代に向けた歯科保存治療のパラダイムシフト」より.東京医科歯科大学,2012.
4 ) 和達礼子・他.歯の破折症例の現状ならびに課題―歯内療法専門外来初診患者にみる現在の歯科臨床のニーズ.日本歯科保存学雑誌 2015;58(1):1-9.

地下鉄丸ノ内線、大江戸線本郷三丁目駅より徒歩5分
都バス本郷三丁目停留所より 徒歩5分

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