いまさら聞けない、、、、歯根破折とは何ですか?
歯根破折は、骨の中にある「歯根」と呼ばれる部分にヒビが入る、または割れてしまう状態を指します。歯根は歯冠を支え、噛むときの力を骨に伝える重要な部分です。歯根破折は外傷によって外部から引き起こされる場合と、根管治療(下の方に説明してあります。)時の細かなひびによって内部からはじまる場合があり、いずれにせよ抜歯の対象になっていました。
歯根破折の症状
歯根破折の症状は、破損の程度によって異なりますが、一般的な症状には以下のものがあります。
- 歯の痛み: 外傷による歯根破折では一般的に強い痛みが出ます。この痛みはしばしば刺激に対して敏感で、歯を噛む際や冷たい飲み物を摂る際に特に顕著です。歯根部の神経や血管が外部に露出するために痛みが生じます。
- 腫れ: 歯根破折により、歯の内部に感染が広がります。この感染が進行すると、歯茎や周囲の組織が感染して腫れることがあります。腫れは通常、痛みや不快感を伴います。
- 感染: 歯根破折による感染が進行すると、歯を支える骨の内部に膿がたまることがあります。これにより、歯が非常に不快になり、口の中が悪臭を放つことがあります。
- 歯の動揺: 歯根破折により、歯の根部分が損傷するため、歯が不安定になり、噛むときに動いたり揺れたりすることがあります。この不安定感は患者に不快感をもたらします。
- 口腔内の疼痛: 歯根破折に伴う感染や炎症は、口腔内全体に疼痛感をもたらすことがあります。口を開け閉めする際や食事をするときに不快感を伴います。
これらの症状が一つ以上現れた場合、歯根破折の可能性が高いため、早急に専門の歯科医師の診察を受けることが非常に重要です。歯根破折は放置すると感染や歯の損傷が進行する可能性があるため、早期の治療が必要です。ただし一般の健康保険医では「歯根破折は直ちに抜歯」する処置方法しか取れませんので、専門医への受診をお勧めします。
歯根破折の治療方法
歯根破折の治療方法は、症状の程度に応じて異なります。学会で認められている通常の治療方法を詳しく説明します。
- 修復
歯根破折が軽度で、歯の根の損傷が限定的な場合、歯科医師は歯根内部から破損した部分を修復し接着補強します。さらにグラスファイバー製のポストによりレストアします。最終的に再度の破折を防ぐ意味で、歯にクラウン(被せ物)を施します。この方法は、歯の機能と美観を回復するための目的も兼ねています。 - 根管治療
歯根破折による感染が進行している場合、根管治療(エンドドンティックス)が必要です。この治療では、歯根の内部にある感染した内容物を取り除き、歯根に染み込んだ細菌をクリーニングし、封鎖します。これにより、感染が制御され、歯を保存することが可能になります。根管治療後には、上に述べたようなクラウンが取り付けられます。 - 抜歯
歯根破折が非常に重度で、修復や根管治療が不可能な場合、歯を抜歯することが必要になることがあります。抜歯後、歯の欠損部分を補う方法として、入れ歯、ブリッジ、またはインプラントが考えられます。歯科医師は、患者の状態に応じて最適な選択肢を提案します。
歯根破折の予防方法
歯根破折を予防するためには、以下の予防策を実践することが重要です。
- 定期的な歯科検診
歯科医院での定期的な検診は、歯根破折や他の歯の問題を早期に発見し、適切な治療を受ける機会を提供します。通常、3ヶ月に一度の歯科検診、クリーニングをおすすめします。定期的な歯科検診により、歯根破折の兆候が見つかる場合があります。 - 歯軋り(ブラキシズム)のコントロール
日中、夜間を問わず行う「噛み締めや、歯ぎしり、きしませる、これらの混合型」などを「ブラキシズム」と呼んでいます。
これらのうち「強い噛みしめ」が歯根破折に直結すると考えています。 就寝中に「ご自身で歯を噛み割って」来院される患者様もいらっしゃいます。
また常に上下の歯を接触させる現象をTCH(Tooth Contacting Habit歯の接触癖)と呼びます。弱く接触していても20時間以上の長時間にわたることがあるので歯にとっては大きな負担になります。
ブラキズムが続く場合、専門の歯科医師により、薬物による治療やカスタムメードのマウスピースの製作を行います。 - 健康的な睡眠習慣
現在ではブラキシズムは「睡眠障害」による諸症状のうち口腔内でみられる症状と考えられています。
従って歯根破折を防ぐ根本的な治療は「良い睡眠をとる」ということに尽きます。
このための指導を行ってくれるような歯科医師に受診されることをお勧めいたします。
これらの予防策を実践することで、歯根破折のリスクを最小限に抑え、歯の健康を維持することができます。